火山と噴火の歴史を歩く

霧島の地下にある溶岩は、最も古いもので100万年前のものだと考えられている。当時の霧島一帯は、現在とはまったく異なる姿だった。噴火が繰り返され、流れ出た溶岩が積み重なって、少しずつ現在の地形に姿を変えてきたのだ。霧島神水峡は、そんな壮大な霧島火山の歴史の一端を感じることができる場所だ。

遊歩道が霧島川沿いに整備されている。進んで行くと、川の向こう側に整然とした垂直方向の割れ目を持つ巨大な岩壁がある。火山から流れ出た溶岩がゆっくり冷えて固まると、このような多角形の断面を持つ規則正しい割れ目になるのだという。自然が作り出した、彫刻のような絶景だ。

ところでこの川は、昔「祓川(はらいがわ)」と呼ばれていた。当時の参拝者は、この川の水を使って身を清めたという。そういえば、霧島神宮の本殿から山神社へと至る道の途中には、古い参道があった。当時の人も、絶景の岩壁を見ながら、この川沿いを歩き、あのひっそりとした参道をのぼって参拝したのだろうか。

さらに下流に進むと、人工の滝が見える。この滝には、今後もし噴火が起こった場合に、流れてきた土石流をできるだけせき止めるダムの役割があるそうだ。

火山の噴火とは、決して過ぎ去った話ではないのだ。過去、現在、未来。霧島のすべての時間が火山とともにあることを、歩きながら感じられるだろう。



写真1枚目:霧島神水峡
写真2枚目:溶岩が冷えてできた柱状節理の壁

Next Contents

Select language