ザビエル公園を出て、紀州街道沿いに南へ向かう。その途中にある菅原神社にも立ち寄ってみよう。ここには、千利休の師匠・武野紹鴎が愛したと伝えられる椿の井戸がある。

「侘び寂び(わびさび)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。元は和歌に関する言葉で、和歌をたしなんでいた紹鷗によって、そのエッセンスが茶道に持ち込まれたと言われている。

例えば、広い宴会場で歌う時と、家の風呂場で歌う時では、声の出し方を変えるのではないだろうか。紹鷗は四畳半よりも大きな場で行う茶会を「侘敷」、それより小さいものは「寂敷」と分類したそうだ。ちなみに、歌の中で最もインパクトがある部分を「サビ」というが、それはここからきているといわれている。

それぞれに部屋のあつらえを変え、茶器を変え、作法を変える。日本の美意識を表す「侘び寂び」は、ここ堺から始まったのだ。

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