利晶の杜の前の大通りを東へ向かうと顕本寺というお寺がある。ここに眠るのは、本邦初のシンガーソングライター・高三隆達 。琉球から伝わった蛇味線をアレンジしてつくられた三味線は、堺発祥の楽器である。堺では手に入りにくい蛇皮のかわりに、犬や猫の皮を使って三味線がつくられた。隆達は僧侶でありながら、三味線を弾いて自ら作詞し、独自の節付けをして小歌をうたった。
顕本寺が所蔵している絵図には、流しの歌人として歌う姿が描かれている。隆達にはジュークボックスさながらに歌のリストがあり、なんとその数500以上。その中には私たちがよく知る、君が代もある。現代では「御代が末永く続き栄えるように」と願いを込められた歌として知られているが、この時代、実はラブソングとして歌われていたのだとか。