馬越峠の石畳道は江戸時代の初め紀州藩により整備されたもので400年前のものです。登り口から峠までの2キロの石畳道は整備された当時のままの姿で残されています。
道幅は、偉い人を駕籠に乗せて運ぶことも考えて2.7メートルを基本としました。敷石は大きく平らで、折り重なるように敷かれています。これらの石は周辺の山や谷からの花崗岩を用いており、歩きやすいように歩幅に合わせて敷かれているためストレスなく歩くことができます。
雨の多い伊勢路の中でも特に馬越峠はたくさんの雨が降りますので、石畳道の数メートル下からびっしりと手抜きなく石が敷かれており、大雨でも崩れることなく流されることはありません。
石畳の間に斜めに横断する溝がありますが、「洗い越し」といいます。大雨の時に山から流れ出る水を谷に流すものです。草鞋についた土の汚れを洗い流すのにもつかわれたそうです。
古道沿いにはヒノキや杉の林、そしてシダが生い茂り、趣のある道となっています。林業が盛んなこの地域は、古道の石畳道を滑らせて材木を搬出することもありました。