耳を澄ませると、音が聞こえてくる。
この音は、一体何の音だろう。
これは染めものを染める際の水の音だ。
この工房では染めものを体験することができる。
今川時代には安倍川流域で木綿の栽培がおこなわれており、
それに伴い近郊農村では染料の藍の栽培が盛んにおこなわれた。
静岡には今でも布に関した地名が多く残っている。職人たちは現在もそれぞれの手法や表現で作品を制作し、多種多様な染め文化を築いている。
ここでは藍の絞り染め、お茶染めの抜染体験や自分の好きな色で染められる型染めを体験することができる。
下絵、型彫り、糊置き、色差し、水元といった多くの工程を経て完成した柄が浮かび上がった瞬間の喜びは格別だ。
染めものは染め上がりの美しさも素敵だが、時間を経るとともに色が変わっていく過程も楽しむことができる。まるで人の人生のように移り変わっていく染めものの色に、きっと愛着も増していくことだろう。