匠宿の一角にたたずむ、匠宿伝統工芸館。ここには静岡市、さらには匠宿が大切に保管している伝統工芸品が並べられている。
徳川家康公が治め、栄えた駿府のまち。駿府城や浅間神社などをつくったり改修したりするため、当時トップクラスの職人たちが、この地に集められた。職人として腕を振るううちに、やがてこの地が気に入り、住み着く人々が現れ始める。
これが、この駿府の地にさまざまな伝統工芸が根付く由縁だ。
江戸時代、明治時代、大正時代…と時を重ねてもこの地には多くの職人が生まれた。こうして作られた伝統工芸品に対して、この地に住む人々は昔から「大事に使う」という形で向き合い続けてきた。
こうした経緯から、この伝統工芸館に並ぶ伝統工芸品たちも、20数年前に作られたような比較的若いものばかりだ。
江戸時代以降、駿府の歴史と共にあったのが、駿河竹千筋細工だ。
伝統工芸館にも数種類の駿河竹千筋細工の作品が展示されている。この技術の特徴は、竹を熱しながら加工するということ、竹ひごを一本一本削りだしていること。この2点が、虫を傷つけないための当時の人々の知恵だ。
江戸時代には武士たちの内職として、こうした虫籠が献上品としてつくられていたとされている。その技術は今も駿河竹千筋細工として、この静岡市に根付いている。
伝統工芸館を見て回ったあとは、匠宿の外に広がる泉ヶ谷へ。
「古代東海道」に散らばる7つの不思議を一緒に探してみよう。