この作品は、岩首の棚田で撮影された一枚の写真です。主役をひとり決めて、その背景を撮るというシリーズで知られるManda-la。今回の主役は「世阿弥」です。
能の大成者として知られる世阿弥は、将軍の怒りを買い、佐渡に流されることになりました。佐渡島での暮らしがどのようなものだったのか。その記録は残されていませんが、佐渡にさまざまな伝統芸能が残っているのは、世阿弥のように島流しに遭った人たちが京の文化を島の人々に伝えてきた証です。江戸時代には金山や北前船の関係者からも各地の文化が伝わり、さまざまな伝統芸能が花開きました。
この作品にはたくさんの船が写っていますが、そのひとつひとつが、現在も佐渡に残る伝統芸能をあらわしています。それらが海の向こうから押し寄せているようでもあります。あなたが気になる船はどれでしょうか。この作品をきっかけに、実際の伝統芸能を見に行く旅がはじまるかもしれません。