作者は制作にあたり、4ヶ月ほど佐渡に滞在していたそうです。最初はひたすら島中をドライブしていたらしく、心配した周囲から「そろそろ何か作らないと……」と声をかけられると、突然「たらい船にする!」と言ったそうです。

たらい舟は、入り組んだ岩礁地帯が多い佐渡ならではの船で、サザエなどをとる漁に適しています。小回りが効いて、水深が浅くても漁がしやすいのが特徴です。たらい舟の発想の元は、佐渡で盛んな味噌作りの味噌樽。その形は味噌樽を半分に切ったような形をしていることから「半ギリ」とも呼ばれます。

たらい舟は、佐渡の南側の玄関口である小木で盛んです。不要なたらい舟をもらおうとしましたが「いらない舟ははない」ということで、作品のために新しいたらい舟を作ってもらいました。そこに作者は指で絵を描き、よく見ると顔まで描かれています。

完成した作品は両津の加茂湖のほとりに設置されました。もともと船小屋だった場所で、そのたらい舟は加茂湖に浮かんでいるようにも見え、たらい舟に乗っているような写真も撮れることから人気を博しました。

もし、本物のたらい舟に乗ってみたいと思った方は、小木に行けば実際に乗せてくれる場所があるそうです。

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