岩首は、その美しい棚田で知られる地域です。江戸時代、米は貨幣のように使われ、その価値は非常に高かったため、この険しい傾斜地においても段々畑を作ることになりました。この棚田の開発には、金山で培われた高度な測量技術が活かされたといいます。

農家の苦労は続きます。この棚田は高さがあるため水漏れが起きることがありました。その対策として牛に石を引かせて地固めを行い、田んぼの収穫が終わっても水を抜かずに一年中、水を貯めておく方法が取られました。そのため、田植えも水を貯めたまま行わねばならず、大変な重労働でした。当時、肥料が不足していたため、崖崩れで崩れた土を自然の肥料としたこともあったといいます。

岩首の棚田は、自然と共生してきた歴史の証です。この美しい景観の裏側に秘められた苦難について想いを馳せてみると、また違った光景が見えてくるかもしれません。

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