この山では「妙」と「法」のふたつの文字が同時に灯されます。妙法というのは「南無妙法蓮華経」。その文字を灯すことからも分かるように、この山の麓には信仰心の厚い人たちが住んでおり、お寺を中心に地域が一致団結しています。そして、お寺のお坊さんたちは火がついてから消えるまでの間、お経を唱え、ご先祖さまの精霊を送ります。
また、地域の人たちにはそれぞれが担当する火床があり、先祖代々受け継がれています。燃やす木々の乾燥のさせ方から火のつけ方まで、それぞれに秘伝があるとも言われ、麓で見守るお年寄りは自分の子供や孫たちが無事に火床に火を灯せるか真剣に見守っています。
妙・法の2文字は点火の合図でパッと一斉に浮かび上がります。まるでスイッチを押したかのように統制が取れていて、消える時も同様に合図でパッと消えるのです。地域や家のまとまりの強さが感じられることでしょう。