室町時代の行列は、比較的新しく時代祭に加えられた行列です。室町時代を切り開いた足利将軍は幕府を開いて武家政権を樹立したことから、天皇家と対立関係にあった時代や人物として、時代祭の行列にその姿を見ることはできませんでした。しかし、京都の文化が花開いたのもまた室町時代。金閣寺や銀閣寺、能や狂言、茶の湯、生け花、水墨画など、現在に受け継がれているものばかりです。京都にとって欠かせない時代であることから行列に追加されました。このように時代にあわせて変化していく祭りであることも時代祭の見どころです。

この行列では誰とは言及されていませんが、足利家の将軍とそれをとりまく側近たちが登場します。ユニークなのは、お医者さんの前にお坊さんがいることです。当時の将軍にとってはお坊さんも欠かせない存在であり、何か悪いものに取り憑かれたら邪気をはらってもらう必要がありました。医学が発達していないこの時代では、お医者さんと同じような扱いで、お坊さんもまた将軍を支えていたのかもしれません。

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