「色里や 十歩はなれて 秋の風」
これは夏目漱石とともに道後を訪れた正岡子規の俳句です。この歌の通り、宝厳寺のすぐそばには色里、つまり遊郭が広がっていた時代がありました。
宝厳寺は、有名なお坊さんである一遍上人が生まれ育った場所でもあります。一遍はもともとこの地を治めていた河野氏と呼ばれる一族の末裔でした。しかし、元寇もあって世の中が荒れていた時代に、一遍はすべてを捨てて、ひたすら念仏を唱えながら踊る、踊り念仏を提唱。「捨聖」と呼ばれ、全国を旅しながら人々の尊敬を集めました。この踊り念仏が全国の盆踊りの原点ともいわれます。
松山出身でもある正岡子規は一遍上人を「この地でいちばんの豪傑だ」と称えましたが、夏目漱石とどんな会話を交わしたのでしょうか。