西国一の難所の八鬼山越えには、異国の地から来て志半ばで行き倒れた巡礼者の供養碑が4基あります。墓碑には現在の長崎県、広島県、群馬県、茨城県の地名が刻まれています。
伊勢から熊野三山までの伊勢路の旅は多くの峠越えがあり、決して楽な旅ではありませんでした。不治の病におかされた人は病気の回復を願って、様々な悩み苦しみを抱えた人は救いや解放を求めて神仏にすがる思いで旅路を歩いたことでしょう。
巡礼者は国を出るときにパスポートのように身分を証明する通行手形を持って旅をしましたが、手形にはもしも途中で行き倒れたら「持参しているお金で葬儀・埋葬をしてください」と書いてありました。そのことから、お金を持参していた巡礼者はお墓を建ててもらえましたが、お金を持たず墓を建ててもらえなかった人もたくさんいたことでしょう。そういった方への思いも馳せながら石仏に手を合わせながら歩いてみてください。