人里離れた山奥にて玉姫様は、お父上・明智光秀様が秀吉公に追われて討ち死されたこと知りました。

19歳して、夫である忠興様と御子様たちから引き離され、明智のご一族は滅亡の憂き目に遭い、姫様の苦悩はいかばかりであったでしょう。

美しいお顔からは笑顔も消え失せ、そのご様子はあまりにもおいたわしく、私たち侍従も辛い日々が続きました。

「さだめなき心と人を見しかどもつらさはつひに変らざりけり」

姫様の歌にございます。きっと空を埋め尽くす星空の下、飛び交う蛍を見ながら、自然の雄大さと共に、人の世の儚さ、戦国の世の理不尽さを思って読まれたことでしょう。

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