お湯を入れたら3分で出来上がるカップヌードル。日本だけでなく、世界で愛されるインスタントラーメンは、安藤百福によってここ、池田でつくられた。戦後、理事長として勤めていた信用組合が破綻。すべての財産を失い、残ったのは池田の借家だけだった。無一文の安藤の脳裏に浮かんだのは、戦後の闇市で1杯のラーメンを食べるために行列に並ぶ人の姿。
そこで、お湯があれば家庭でもすぐに食べられるラーメンを作ろうと決意。自宅の裏庭に建てた小屋で研究を続け、1年かけて完成したのが、今なおロングセラーを続ける「チキンラーメン」だ。共働きや核家族が増え始めた時代に、簡単で長期保存できるインスタントラーメンは人気商品となった。
さらにチキンラーメンを世界に広めようと考え、アメリカを視察。そうすると予想外のことが起こった。現地のスーパーの担当者が、チキンラーメンを小さく割って紙コップに入れ、フォークで食べ始めたのだ。どんぶりや箸を使わない、食習慣が異なる国でも食べられるように開発されたのが「カップヌードル」だ。この発明により、インスタントラーメンは世界中で食べられるようになった。
ミュージアム内の展示スペースでは、開発から現在に至るまでのヒストリーを日清食品の歴代の商品パッケージ展示や、チキンラーメンの開発に取り組んだ研究小屋のレプリカなどを使って紹介している。歴史を紐解きながら安藤の発想力、観察力を感じてほしい。体験アトラクションでは、世界でひとつだけのオリジナル「カップヌードル」づくりに挑戦してみよう。ラーメンを前にした時、あなたにはどんなアイデアが湧いてくるだろうか。