尖った頭と吊り上がった目。笑っているのかいないのか、ユニークな表情。あなたは「ビリケンさん」を知っているだろうか?
大阪を象徴する観光地・通天閣にビリケン像があり、大阪の人なら誰もが知る有名なキャラクターだ。このビリケンさん、実はアメリカ生まれ。とある女性イラストレーターがデザインしたもの。彼女の夢に幸運の神として現れたのだとか。幸運の恩恵を受けたとされるのが、ときのアメリカ大統領ウィリアム・タフトである。大統領選の際、敵陣営のセオドア・テディ・ルーズベルトがテディベアをマスコットに使用していたことに対抗し、自身のキャラクターとしてビリケンを選んだそうだ。ちなみにウィリアムの相性はビリー。「ビリケン」の名はウィリアム・タフトにちなんでつけられたとも言われている。
このビリケン人気に目をつけたのが、池田市で繊維会社を創業した田村駒治郎。勤勉でアイデアマンだった駒治郎。洋反物の卸売商を営み、大繁盛させた。自社のオリジナルテキスタイルをつくるべく、いち早くデザインを行う「意匠室」を設置した。
駒治郎は、ビリケンの商標登録を行い、販売促進用品や商品キャラクターとして使用した。現在のキャラクター事業のことはじめとも言えるだろう。当時大阪に東洋一の大きさをほこるテーマパーク「ルナパーク」がオープンした。そこにビリケン像が置かれ、新世界の名物となった。現在は3代目のビリケン像が通天閣の5階に置かれ、七福神に3代目のビリケンを加えた八福神として祀られている。
駒治郎のゆかりの地として、実は呉服座のほど近くにビリケン像がある。足の裏を撫でることで願い事が叶うと言われているビリケンさん。もしかすると、駒治郎のような斬新なアイデアが湧いてくるかもしれない。