拝殿から右に進むと、出雲井という井戸がある。この水を使い、室町時代から続く占い「かゆうら神事」が行われていた。かゆうら神事とは、毎年1月に行われる神事で、その年の天候と米や麦や大豆など53種類の作物の豊作凶作を占う。

大釜で小豆粥を煮て、かまどの火の中に12本の木を入れる。その焼け具合で各月の晴雨を占う。粥の中には53本の竹を束にして吊るし、炊きあがった際に竹筒に入った粥の量によって作物の豊凶を占う。では、なぜこの場所でこうした神事が行われていたのか。

それはここが、水源地であることが関係していたのかもしれない。こんな話がある。

大阪のある寺にずっと枯れていた井戸があった。しかし、急に水がわき、井戸から水があふれ出てきた。そしてその翌日、大きな震災が起こった。水の量が増える、水の色が変わる。水は天変地異の前触れを伝えてくれるセンサーとしての役割を持つ。

豊富な水を蓄える枚岡神社は、河内国にとって「神様のメッセージを受信する」適切な場所だったと言えるかもしれない。


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