第三列は、神様に奉納する舞を行う人たちと、行列の主役である「近衛使代」を中心とした行列です。
天皇から賀茂の神様に対するお言葉を読み上げる使者を勅使といいます。勅使は、近衛府の中将が務めたため、近衛使といいました。現在では、勅使は社頭の儀でお役目を務めておられ、路頭の儀では代役を立てています。そのため行列のほうは近衛使代といいます。
近衛使代は行列の中で最も位が高く、路頭の儀の主役ともいえる存在です。このことは衣装の色にも表れています。平安時代の宮廷では、人々は9つの位に分けられ、位ごとに着る衣装の色が異なっていました。さらに、位が高くなるほど衣装に華麗な模様を施すことが許されていたため、当時の人々は衣装を見るだけでその人の位を理解することができました。近衛使代が着ている衣装はこの行列では唯一の黒色で、最高の位である象徴となっています。
近衛使代の後には、現代でいうSPのような警護の人たちが並び、その後ろに風流傘が続きます。この風流傘は行列を華やかに彩る贅沢な飾りです。近衛使代を引き立てる舞台装置のような役割も果たし、行列全体をより一層輝かせる存在となっています。
さて、近衛使代は神社の中に入ると、天皇の使いである「勅使」にその役目を引き継ぎます。それから勅使は賀茂の神様に天皇から託された国家安泰のお言葉とお供物を奉納します。こうして、路頭の儀の行列は社頭の儀に繋がっていくのです。