第四列は、音楽を演奏する人たちや、天皇から預かった言葉を管理する人たちによる行列です。
天皇からのお言葉は、赤い装束を着た「内蔵使」と呼ばれる人が預かります。その内容は次のようなものです。
「天皇から賀茂の神様に申し上げます。国家の平安と無事のためにご加護をお祈りします。」
この言葉からも葵祭が格式高い国家的行事であることが感じられます。
源氏物語における路頭の儀はどのように描かれているのでしょう。
その日、光源氏は「紫の上」とともに葵祭の見物に出かけました。この日も京都の街は見物客で大変な賑わいを見せていました。光源氏もまた場所取りをしていませんでしたが、彼の知り合いである源典侍に場所を譲ってもらいます。そのとき、源典侍は光源氏が紫の上と一緒にいることを嫉妬するような歌を詠みます。
「はかなしや 人のかざせる あふひゆえ 神のゆるしの けふを待ちける」
今日はたくさんの人が頭に葵を飾る日ですが、私も神の許しを得てあなたと逢う日になるのではないかと待ち焦がれていました。
この歌に対し、光源氏が返した歌は次のようなものでした。
「かざしける 心ぞあだに おもほゆる 八十氏人(やそうじびと)に なべてあふひを」
そうは言っても、その本心は当てになりません。葵祭はたくさんの人に逢う日ですからね。