この作品の場所は秘密です。その在処を知りたい方は、両津商店街にある「TAACHI」を訪ねてみてください。そこで、特別な地図が手渡されるでしょう。作品に出会う旅は、そこから始まります。
作品のテーマはスペースデブリ。デブリとは宇宙に漂うゴミのことです。1957年のスプートニク以来、人類はたくさんのロケットや人工衛星を宇宙へと送り出してきました。しかし、やがて役目を終えた衛星はそのままデブリとなり、時には衝突して無数の破片を撒き散らします。
2025年現在、地上から追跡可能な10cm以上のデブリは5万個以上とも推定されます。秒速8kmという猛スピードで飛び交うそれらは、今も現役の人工衛星や宇宙ステーションを脅かしています。デブリの一部は大気圏で燃え尽きますが、すべてが消えるわけではありません。過去には、原子炉を搭載したソ連の衛星がカナダに落下。放射能を帯びた残骸が数千個も降り注いだことがありました。幸い無人地帯だったため人的な被害はありませんでしたが、もし都市部であったなら。あるいは、もし佐渡であったなら。そんな危うさを背景に、この作品のメッセージはより鮮明に浮かび上がります。
作者は、この作品にふさわしい場所を探すため、日常的に忘れられている神社仏閣をリサーチしました。それは、まるで空のデブリが人間の世俗と離れてひとり宇宙を漂う姿。そのイメージに合う場所を探し求めた結果、まさにその場所が佐渡にあったのです。あなたは、その場所を前にして何を感じるでしょうか。