この作品は、今回の佐渡の芸術祭で日本初公開。耳の聞こえない人と健常者がともに体験できるインスタレーションです。

健常者の方には耳栓をしてもらい、普段頼っている聴覚を一度遮断します。そして、低周波と振動をベースにした「音にならない音」を体全体で感じながら、映像に身をゆだねていきます。他に類を見ないこのアプローチは、健聴者と聴覚障害のある人とを同じ感覚の場で結びつけ、視覚や聴覚の境界を越えた新しい体験を生み出します。

リスボンとベルリンを拠点とし、このプロジェクトの創設者である作者のフランチェスコ・スパギアリは、聴覚障害のあるアーティストをハプティック・ミュージシャンとして育成してきました。

アートは言葉を超えるとよく言われますが、この作品はさらに一歩進み、身体的な制約すら超えることを目指しています。音が聞こえる人も、聞こえない人も、同じ波の中でつながる。そんな新しい世界に触れてみてください。

佐渡には、能や鬼太鼓といった“音を全身で感じる文化”が今も息づいています。太鼓の振動や謡の響きは、耳だけでなく身体に刻まれるもの。この作品は、そうした佐渡の文化とも共鳴しているのです。

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