いくつかの植物を採取し、芸術祭の期間中にある場所で育てる。そして展示が終われば、再びもとの山へと戻していく──。この作品はそんな循環の仕組みを持っています。その行為にはどんな想いが込められているのでしょうか。

佐渡といえば、金。かつて島から掘り出された金は、次々と本土へ持ち出されていきました。金が島を栄えさせた一方で、掘り尽くされたあとの山には深い傷跡が残りました。「外からの欲望にさらされ、とり尽くされてしまった佐渡。その歴史に対して“戻す”という行為をしたかった」と作者は語ります。だからこそ、山から持ち出した植物を育て、再び山へ返すという行為を作品としたのです。

作者は小学校の先生でもあります。植物には日向を好むものもあれば、日陰を好むものもある。同じ場所に集めれば、心地よく育つものもいれば、環境の変化にストレスを受けるものもいる。けれども、それぞれが適応しながら生きていく姿は、まるで学校に集まる子どもたちの姿のようだといいます。異なる環境にいた者たちが一堂に会し、それでも力強く生き抜いていく──作者はその可能性を信じているのです。

あなたは、この場所に集められた植物たちの姿に、どんな未来を重ねるでしょうか。

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