「萱御所跡(かやのごしょあと)」は、後醍醐天皇が一時、身を寄せたと伝わる場所です。
後醍醐天皇が吉野へと落ち延びる途中、この内山永久寺に立ち寄りました。そのとき、仮の住まいとして設けられたのが、萱御所です。名前の通り、屋根は萱で葺かれた質素な造りだったといわれています。
しかし、追手の気配を感じながら身を潜めたこの場所で、天皇は何を祈っていたのでしょう。目を閉じて、そっと耳を澄ませてみてください。風に揺れる草のざわめき、枝葉がふれあう木々のささやき。かつてこの場所にあった緊迫した時間と、天皇の切なる願いが、今もどこかに漂っているかもしれません。
祈りの跡というのは、不思議なものです。建物がなくなっても、確かにそこに、気配のようなものが残っています。後醍醐天皇は、この内山永久寺を経て、吉野へとたどり着き、南朝を開きました。この小さな「萱御所」こそが、その歴史のひとつの転換点だったのかもしれません。