山の斜面に抱かれるように建つ、白壁の美術館があります。
ここで紹介されるのは、丹波焼だけではありません。
コレクションは「兵庫ゆかりの古陶磁」と「現代陶芸」の二本柱からなり、
古今東西の陶芸文化を幅広く紹介していくことを使命とする、まさに“陶芸の美術館”です。

なかでも、丹波焼の過去と現在──そしてこれからを見つめる展示は、この地に息づく焼きもの文化の深さを語りかけてくれます。

ここに並ぶのは、ただの展示品ではありません。
それぞれの器が、どのように形を得て、焼き上がり、使われ、時を重ねてきたのか。
そのプロセスが、まるで器たち自身が語りかけるように、空間に滲み出しています。

器はまず、土を成形し、乾燥させ、素焼き、釉掛け、本焼き──と、いくつもの工程を経て完成します。
しかも焼くと2割ほど縮むため、その先を見越して整形しなければなりません。
つまり、完成形は常に「見えない未来」にあります。

この美術館には、そんな焼きものの本質を見つめ続けてきた作家たちの作品が集まっています。

丹波焼の作品もあります。彼らの作品は、自然釉の偶然を受け入れながらも、意図をもって配置された美の結晶。
赤土の優しい発色や、丹波ならではのやわらかな形の中に、土地の美意識と時代の要請が折り重なっています。

この美術館には、古窯跡の出土品から、時には現代作家の意欲作まで、丹波焼の“いま”と“これから”が同じ地平に展示されています。
そこに並ぶ器たちは、800年の技と素材に支えられながら、使いやすさや暮らしに寄り添う形を問い続けています。

この美術館を歩くことは、焼きものを「鑑賞する」のではなく、「対話する」こと。
どうぞ、器たちの声に耳を澄ませてみてください。
そこに宿る時間と美意識は、あなた自身の暮らしにも、そっと触れてくるはずです。

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