ここに祀られているのは、天女のような羽をもつ「飛翔弁財天」です。水の神、水神様としても知られ、真言密教において「水」は慈悲と生命の根源ともされてきました。豊富な水が湧き出す等々力不動尊と縁深い神様です。

もともとは「才能の才」と書いて「弁才天」と呼ばれ、音楽や芸術、言葉の力を司る存在として、人々に親しまれてきました。やがてその「才」は財産の「財」となり、豊かさをもたらす神としても信仰されるようになります。琵琶を抱えたその姿は、静かな水面に広がる音色のように優しく、どこか凛とした美しさをたたえています。

この弁天堂の前に立つと、周囲に満ちる水音や木漏れ日が、まるで琵琶の調べのように心に響いてきます。目を閉じれば、その音に誘われるように、自分自身の内にある「表現」や「願い」が静かに浮かび上がってくるかもしれません。

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