松山らしい音とは、なんなのでしょうか。
ここで、耳をすませてみてください。
まず聞こえてくるのは、木の葉がこすれ合うやわらかな音。
サワサワ、と森が息をしているような気配。
そして、その奥から、「ガタン、ゴトン」という低いリズムが届きます。
これは、道後温泉へとつながる路面電車の音。
松山の人なら誰もが知る、街の鼓動のような響きです。
100年以上前から、湯治に向かう人、城下町へ出る人、寺へお参りする人——
さまざまな「日々の旅」を乗せて走ってきた音。
田舎から石手寺へ、そして道後温泉で入浴、最後に名代のうどんを食べて帰る。
そんな、明治から昭和にかけての「道後の定番コース」も、この路面電車の音とともにありました。
もう一度、目を閉じて耳を澄ませてみてください。
木の葉のそよぐ音と市電の音。
今日のあなたには、どちらの音が大きく聞こえるでしょうか。
木の葉のかなでる音が聞こえる日は、森があなたを包んでくれている日。
レールの音が聞こえる日は、街のリズムに心が寄り添っている日。
耳で風景を味わう——
それが、この「杉の壇」での森林浴です。