旧開智学校校舎は、明治9年(1876年)に完成し、90年近く使用された小学校の校舎である。松本の大工棟梁 立石清重(たていしせいじゅう)が設計・施工をした和風・洋風が混ざり合った擬洋風建築の名作のひとつだ。
令和元年(2019年)、近代学校建築として初めて国宝に指定された。文明開化に沸いた明治初期、日本人が洋風の建築を受け入れていった過程を示し、近代教育の黎明期を象徴する校舎として、深い文化史的意義を有すると評価されたのだ。
この校舎の建築費は当時の価格で約1万1000円(現在の価値にすると数億円といわれている)。そのうちの7割は地元住民が出し合った。学都(がくと)と呼ばれる松本人の教育に対する熱い想いが伝わるエピソードだ。
さて、校舎を正面から見たときに左右の長さが違うことに気づいたであろうか。
これは当初の校門が正面右寄りにあり、そこから見たときに左右対称になるよう、あえて非対称にしたと言われている。
当時の最先端技術と西洋への憧れ、そして日本の伝統的建築技術が融合した、ユニークな外観を生み出している。