「待つ」に身を委ねて

「待つ事久しくして本懐を遂ぐ」。そんな言葉が、松本には伝わっている。「長い間待ち続けた願いがついに叶うこと」を意味するもので、一説では「松本」という地名の由来だという。

「待つ」ことは、松本を知る鍵となるかもしれない。400年以上昔の天守が残る松本城だが、意外とはっきりわかっていないことが多い。研究が進む中で、新発見につながることもある。私たちが一目見て予想することと、事実が異なる場合も少なくない。

すぐ判断を下さず、問いを胸に、考えて「待つ」。その時間に身を委ねることが、松本を深く知ることになる。

このガイドは、二つの要素から構成されている。一つは松本城、もう一つは城下町だ。松本城のガイドは、入城を待つ間に聞いても、城を歩きながら聞いても構わない。城下町は、ぜひ実際のスポットを散策しながら聞いてほしい。

ガイドには、松本城について考えるための問いをちりばめた。検索すればすぐ正解にたどり着ける時代。だからこそ、自分の頭でじっくり考えてみよう。