大手門跡のすぐ近くにあるカエルのオブジェが目印の縄手通りに入ってみよう。ここは、かつて総堀と女鳥羽川に囲まれた土手だった。江戸時代には土手上のまっすぐな道で、家は全くなかった。今のような賑わいとなるのは、1879年に四柱神社が創設され、祭り縁日で露店が並んだのがきっかけといわれる。1915年には野菜市が始まり、1920年代になると常設の露天商が並ぶようになり、神社の門前町のような賑わいになったことが縄手通りの始まりと言われている。
現在は観光客で賑わい、創業100年以上の老舗のパン屋「SWEET」をはじめ、飲食店やカエルの雑貨、おもちゃ、骨董品などのバラエティに富んだお店が連なる。縄手通りのシンボルであるカエルの由来は、かつて女鳥羽川に生息していた綺麗な鳴き声が特徴のカジカガエルにある。このカエルは綺麗な川にしか住まないため、時代とともに姿を消してしまったが、1972年にカエル大明神を祀り、川や通りを美しく蘇らせようと取り組んだことで、カエルの街と呼ばれ親しまれるようになった。
では、賑わっている縄手通りを離れて、通りの真ん中にある静かな雰囲気の四柱神社に行ってみよう。大鳥居をくぐったところに架かる「御幸橋」には、大手門にあった石垣の石が使われている。大手門自体は残っていないが、大手門の痕跡がここに残っている。