なぜ、巨大な石があるのか?

ここはかつて、松本城の正門だった。石川康長が、城をつくった名残が太鼓門の石垣の石に残っている。太鼓門の石垣で一番大きな石は玄蕃石と呼ばれている。

高さ4メートル、重さ 22.5トンにもおよぶこの巨石は松本城の石垣ではもっとも大きい石だ。城の正門にあるということは、敵に威圧感を与え、城主の権力や統率力を示そうとしたのだろうか。

「玄蕃石」という名前は、康長が、玄蕃頭という役職だったことに由来する。この石こそ太鼓門を飾るのにふさわしいと考えた康長は、自ら石の上に乗り、檄を飛ばして運ぶのを指揮した。ところが、石を運ぶ者のなかに一人、不満を言う男がいた。不満を耳にした康長は男を呼びつけ、なんと他の者の前で首を刎ねてしまったという。そしてその首を槍に突き刺して高く掲げ、再び石を引かせたのだ。この出来事があってから、誰ともなく、その大きな石を玄蕃石と呼ぶようになったという伝説がある。

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