2階には、
もうひとつ、時間の流れを見つめる展示があります。
「工芸クロニクル」と呼ばれるものです。
日本の工芸が、暮らしとともにどのように歩んできたのか。
その変化が、一枚の絵巻のように描かれています。
昔は、
つくる人と使う人の距離が、いまよりずっと近いものでした。
誰がつくったものなのか。
どこで、どんな手でつくられたものなのか。
そうしたことが、自然と見える関係の中で、工芸は使われていました。
けれど時代が進むにつれて、
つくる人と使う人のあいだには、少しずつ距離が生まれていきます。
この絵巻は、そうした流れをたどりながら、
これからの工芸のあり方までをも描いています。
つまり、工芸がどのように社会とつながり、
どのようなビジネスのかたちで続いていくのか。
いわば「工芸のビジネスモデル」を描いた展示でもあるのです。
そして、その変化を静かに見守るように立っているのが、あちらの二体の鹿です。
一体は、奈良の工芸でつくられた鹿。
一刀彫など、この土地の技が集まって形になっています。
もう一体は、
その鹿を3Dスキャンして生まれた、現代の鹿です。
伝統の鹿と、未来の鹿。
こうして並ぶ姿は、
これからの工芸の姿を、静かに問いかけているようにも見えます。