あなたが毎日使っている漢字の祖先——甲骨文字。
それが、何のために使われていたか知っていますか。

答えは——占いです。

今から3600年前。
中国・黄河流域では、殷という王朝が生まれました。

王は、この地上を治める存在でした。
けれど、その上にはさらに、絶対的な存在がいました。

甲骨文では上帝と記された、後にいう天帝です。

天の上から世界を支配する、巨大な意志。
現代の私たちが思う、優しい神様とは少し違います。

昔の神は、もっと恐ろしい存在でした。
怒れば、旱魃を起こす。洪水を起こす。戦を敗北に導く。
何を考えているのかわからない。

だからこそ、人々は恐れました。

王でさえ、例外ではありません。
むしろ王だからこそ、神の意思を知らなければならなかった。

雨は降るか。作物は育つか。戦に勝てるか。
どの方角から攻めるべきか。祭りはいつ開くべきか。
そんなことまで、神に問いかけていました。

占いの方法は、こうです。
骨や甲羅に小さなくぼみを作り、そこへ熱した棒を当てる。

すると、パキッとひびが入る。
その割れ方を見て、吉か凶かを判断するのです。

そして重要なのは、その先です。
何を問うたのか。どんな結果が出たのか。
それを、骨に刻みました。

つまり文字は、祈りを記録するために生まれたのです。

神に問いかける言葉。神から返ってきた答え。
そのやりとりが、文字になったのです。

人は、未来が見えないから、不安になる。
だから祈る。だから、問う。

それは、3000年以上前も、今も、変わりません。

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