家島の隣には、男鹿島があります。
この島にも、こんな言い伝えがあります。昔、姫路に、雄と雌、一組の鹿が暮らしていました。あるとき二頭は離ればなれになり、雄鹿は海を渡ってこの島へ住みつき、雌鹿は対岸の入江にとどまった。雄鹿が渡った島だから、男鹿島。雌鹿が残った姫路側には、いまも「妻鹿」という地名が残っています。島と町が、ひとつの伝説で結ばれているのです。
けれど、この島と人とのつながりは、伝説よりも、さらに古くまでさかのぼります。
男鹿島では、弥生時代の集落跡が見つかっています。さらに家島諸島では、旧石器時代の石器も発見されており、この場所に人が生きた歴史は、はるか昔までさかのぼります。
神話の時代も、弥生時代も、そしていまも。人々は、この海を渡り、行き交い、暮らしてきました。
島に残る伝説も、海を見つめて生きた人々の記憶が、長い時間をかけて語り継がれてきたものなのかもしれません。