石を、じっくり見たことはありますか。

遠くから見れば、ただの灰色。けれど、近づいてみると、石の中にはいろいろな色が見えてきます。白い粒。黒い粒。透明に近い粒。

実は花崗岩は、ひとつの物質でできているわけではありません。主に、石英、長石、雲母など、いくつもの鉱物が組み合わさってできています。たとえば、少し透き通って見える粒は石英。白や淡い色に見える粒には長石。そして、黒っぽく見える粒には黒雲母などがあります。つまり花崗岩の模様は、石の中にある鉱物の粒が見えているのです。

だから、同じ「花崗岩」と呼ばれる石でも、すべて同じ顔にはなりません。含まれる鉱物や結晶の粒の違いによって、石の色や模様、質感には、それぞれの特徴が生まれます。人間の顔が一人ひとり違うように、石にも「顔」があるのです。

では、ここで少し、広島の石を見てみましょう。広島は、瀬戸内海に浮かぶ塩飽諸島のひとつ。この島では、わずかに青みを感じさせる花崗岩が採れます。

青い、といっても、空や海のような青ではありません。灰色の中に、ほんの少し青みを感じる。近くで見るより、少し離れて全体を見たときに、その違いを感じることもあります。その微妙な色合いも、この島の石が持つ「顔」のひとつです。

同じ花崗岩でも、産地によって色や粒の大きさ、石質などには違いがあります。石を扱う人々は、そうした石の「顔」を見分けてきました。

さて、ここまで聞いたところで、もう一度思い出してください。入口で触れた、あの石です。何色だったでしょう。白に近かったでしょうか。灰色だったでしょうか。黒い粒は多かったでしょうか。それとも――ほんの少し、青みを感じなかったでしょうか。

色を見る。粒を見る。その石の「顔」を見る。そこには、その石が生まれた場所を知るための手がかりがあるのです。

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