雪のように舞う、 そのかたちが意味するものは。

キラキラと輝く銀の雪。ひとつひとつをよく見てみると「家」と「ビル」がかたどられている。越後妻有で見られる家のかたちと、都市の典型的なビルのかたち。地域と都市が混ざりあうこと。その交流によって、お互いの関係性を見つめ直すこと。

キューバ出身の作者は、革命によって近代化が遅れて古い建物が残る母国と、ビルが立ち並ぶ先進国との関係性を重ねあわせたのだろうか。地域と都市。キューバとアメリカ。越後妻有と東京。あるいは……

そして、アートはあなたに問いかける。

作者が着想を得た はかない光景とは。

この作品が発表されたのは2012年。美しいのに、なぜかせつない。そう感じる人もいるかもしれない。というのも、作者がこの作品を着想した理由はもうひとつある。それは、東日本大震災。作者もまた、津波で家が流される映像を見て衝撃を受けたという。

そして、東日本大震災の翌日。マグニチュード6.7の長野県北部地震が越後妻有を直撃。それからわずか4ヶ月後には集中豪雨による洪水で家が壊され、鉄橋が崩れ落ちる被害も起きた。

その跡地を視察した作者は、暗に表現したのかもしれない。家であれ、ビルであれ、等しくはかないものである。それでも、その先には美しく輝く未来があるはずだ、と。

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