赤、青、白、の回転サイン。
ぐるぐるとまわる空間の中を歩いてみよう。すると、回転に飲みこまれそうになり、平衡感覚を失ってしまいそうになる。
理容室のサインを思い浮かべた人もいるかもしれない。その由来を知っているだろうか。中世ヨーロッパでは理容師は外科医でもあった。そのため、赤は動脈、青は静脈、白は包帯の色を表していたと言われている。
それを知ったうえで、もう一度、歩いてみてほしい。まるで人間の体の中に迷いこみ、血液の中を泳いでいるような感覚に陥らないだろうか。
そして、アートはあなたに問いかける。
越後妻有には200を超えるアート作品がある。そして、そのひとつひとつが異なるメッセージを発している。これから先、あなたはその膨大な情報の渦に飲みこまれ、平衡感覚を失いそうになるかもしれない。しかし、なにもすべてに向き合う必要はない。なにかひとつだけでも記憶に残る作品ができればいいのである。
それに、アートを見るために里山を旅するあなたは、食事や宿泊を含めた買い物、集落の人たちとの挨拶によって集落を活気づけることになる。あなた自身が血液となり、過疎化が進んだ越後妻有の血行をほぐす刺激になりうるのだ。