美術館と聞いて想像 するのはどんな空間?

今にも崩れそうな状態で積み上げられたホワイトキューブ。まるでSOSを出しているかのように点滅しているその箱は「MUSEUM」。文字通り「美術館」を表している。

あなたが「美術館」と聞いて想像するのはどんな空間だろうか。

白い壁に囲まれた白い空間。どんな作品をもってきても展示がしやすい合理的な空間。そのような空間を「ホワイトキューブ」と呼ぶ。

世界中の美術館でもホワイトキューブが目立つ。この作品は、このように均質化された美術館や芸術のありかたへの疑問を投げかけているのかもしれない。

そして、アートはあなたに問いかける。

キナーレはありがちな美術館なのか?

大地の芸術祭にあるアート作品の多くは、美術館の中にはおさまらない。ホワイトキューブから外に飛び出して、田んぼ、廃校、古民家など、里山の風景や集落全体を使うなどして、その場所にある魅力をアートを通して表現している。

しかし、今あなたがいるこの空間はどうだろう。この作品が疑問を投げかけている美術館そのものではないだろうか。

2012年にキナーレは現代美術館としてリニューアルされた。しかし、美術館の外に作品があることがアイデンティティでもあった大地の芸術祭が、なぜ今さら美術館を必要としたのか。

この作品は、大地の芸術祭に対しても問いを投げかけているのかもしれない。

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