「越後しなのがわバル」がある空間はアーティストによる作品でもある。
まずは周りを見渡してみてほしい。テーブル、天井、本棚、あらゆるものが丸い形であることに気づいただろうか。
つぎに、越後妻有の大地に立つ「キナーレ」という建築物を想像してみよう。キナーレは四角い形をしているが、その中にテーブルなど丸い形が内包されている。まさに「〇in□」。
ちなみに、丸いテーブルには黒い線が描かれているが、これらの線を一本につなげると信濃川になる。天井にある丸い照明は信濃川に浮かぶ雲であり、丸い円盤は信濃川に浮かぶ水泡を表しているという。
そして、アートはあなたに問いかける。
ここで、地球を想像してみよう。四角いキナーレもまた、丸い形をした地球に内包されているのかもしれない。丸の中に四角がある。四角の中にも丸がある。どちらもお互いに補完しあっているのだ。
地域と都市、農業とIT、自然と人間……。現代社会に生きる人間もまた丸と四角のはざまで生きている。そして、丸と四角に対比されるものはお互いになくてはならないものである。
〇in□、そして□in〇。「人間は自然に内包される」という言葉は、大地の芸術祭を貫くコンセプト。越後妻有の旅を通して、あなたもまた自然に内包されていることに気づけるはずだ。