Q.3 なぜ冨田酒造のお酒は、木之本の風景を思い出させるのか?

木之本出身の人の中には、冨田酒造のお酒を飲むと、木之本の風景を思い出すといってくれる人がいるそうだ。いったいどうしてなのだろうか?

代表の冨田泰伸さんは、海外でアルコールの勉強をしていた際、ワインには生まれた土地柄を味で表現する「テロワール」という考え方があることを知ったという。例えば、有名なロマネコンティはヴォーヌ・ロマネ村のワインであり、ヴォーヌ・ロマネ村らしさがつまっているという。当時冨田さんは、日本酒は47都道府県たくさんあるのに、材料がバラバラで、何県らしさがわかりにくいと感じていた。もっと地域の味を楽しめるお酒を作れないかと考え、日本酒で滋賀を表現することに挑戦し始めた。

「出どころが狭いほうが面白いと思うんです。日本のお酒です、と紹介するより、湖北木之本のお酒ですと伝える方がいい。ボトルに湖北をつめこむんです。水も、米も、携わる人もまとめてボトルに入れたら、湖北が運べるじゃないですか」と冨田さん。

日本酒づくりに必要なのは「水」「米」「寒さ」の3つといわれている。木之本には山の伏流水が豊富にあり、冨田酒造では代々地下18mに流れる水をつかっている。お米はかつて福井や長野の酒米を使っていた時代もあったが、現在は地域の味をつくり出すために、湖北地域の農家と一緒に酒米をつくっている。

全ての素材を湖北産にすることで、ボトルに湖北をギュッと詰め込んでいる。だから冨田酒造のお酒を飲むと、湖北や木之本の風景を思い出すのだろう。ぜひあなたも木之本の町を歩いた夜に、冨田酒造のお酒を飲んでみてはどうだろうか。

Q.4 なぜ”もやし屋”がなくなると日本酒が作れなくなるのか?

「もやし屋があるから、日本酒がつくれるんです」

風が吹けば桶屋が儲かるような話がある。日本酒づくりでは、蒸したお米に菌を振りかける。この菌を「国菌」という。これを育てていくと麹になり、麹と蒸した米を水で合わせると、甘酒のように甘くなる。さらにそれを酵母菌につける。この酵母菌が糖を食べた時に吐き出すのが、アルコールと炭酸ガスだ。これを繰り返して日本酒ができるのだ。

つまり、この国菌がないと日本酒は麹ができず、作ることができない。そしてこの国菌は、もやし屋が配布している。日本酒同様、味噌や醤油を含め、発酵業界の川上には、もやし屋がいるのだ。昔はどの町にもあったが、今では全国にもわずかしかないという。

冨田酒造
滋賀県長浜市木之本町木之本1107
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定休
TEL:0749-82-2013

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