ダイコウ醤油は創業当初から、杉樽を使って醤油を仕込んでいる。杉の樽で発酵させることで、樽についている菌が旨味をつくりだしてくれる。実はこれがミソ。最近は樽ではなくタンクが主流だが、タンクの場合、洗ったときに菌が落ちてしまう。この蔵には目には見えないが、杉樽はもちろん、柱から天井まで、創業当初から百年以上菌が住んでいる。この菌こそが、ダイコウ独特の味を生み出すのだ。
この菌は醤油づくりには欠かせない存在。主に麹菌、乳酸菌、酵母菌が順に活躍する。まず大豆を蒸して麹菌を繁殖させ、酵素を生み出す。これを約48時間発酵させ、塩水を加えて2~3年発酵させたのが「諸味」と呼ばれるものだ。これを杉樽に入れ、2~3年自然発酵させる。その間、乳酸菌が酸味や味の深みをつくりだし、酵母菌がアルコールと香りをつくりだす。この酵母菌は酸素をエネルギーに増えて行くので、発酵させている間も、定期的に混ぜる必要がある。こうして発酵が終わったものを絞り、加熱殺菌して醤油ができあがる。この醤油の一連の作り方は昔から大きく変わっていないという。
「2〜3年間自然に寝かすと、醤油の塩気のカドがとれて、昔からのまろやかな、ダイコウの味ができるんです」と6代目の大杉憲輔さん。
ちなみに、杉樽は使わないとすぐ枯れて壊れてしまう、もろいものだ。杉樽仕込みの醤油が今も味わえるのは、創業から絶えずつくり続け、杉樽を脈々と受け継いできたからこそなのだ。
ダイコウ醤油
滋賀県長浜市木之本町木之本1137
営業時間:9:00~20:00
定休日:不定休
Tel:0749-82-2012