Q.11 なぜ陶器を作り続けるのか?

「日常の中で静かだけど力強い器を作りたいんですよね」

そう語るのは陶芸家の七尾うた子さん。食卓にそっとあって、でも時に寄りそえるような器を作りたいという。ところが、最近のものの売れ方を見ていると、日常に「強いもの」を受け入れる精神的な力がある人が減ってきているのではという。七尾さん夫婦が考える「強さ」とは何だろうか。

「強さって普遍的なものだと思うんですよね。いつの時代にも残る、淘汰されないものが強いものなんじゃないかな。どの時代の人がみても、これいいよねっていうものが、強いものだと思うんですよね。でも最終的には、ものの捉え方は人それぞれ、自由なんです。だから、自分で見て、触って、五感で感じてほしいですね」と七尾うた子さん。

「なくてもいいものを作っているから、そこに何を提示するか。あったかいものとか、ほっとするものとか、持っていると安心するもの、心地よいものを作りたい。器にふれることで、安心や癒しを伝えられたら」と七尾佳洋さん。

Q.12 なぜ木之本で陶器を作るのか?

七尾佳洋さんは北海道、七尾うた子さんは大阪府生まれ。北海道で20年ほど陶芸をやっていたが、滋賀を選んで移窯してきた。北海道にいた時から、滋賀県の信楽の土を使っていた縁もあるが、そこには、「焼き物は地産地消であるべき」という七尾佳洋さんの哲学がある。滋賀にくるまでは、作るのは北海道、売るのは都会と分かれていた。当然住んでいた地域の人は、七尾さんたちの活動を理解することは難しかったという。

一方木之本の人たちも、作家のつくった器を使っている人は珍しかった。それが、七尾さんたちが木之本に住みはじめ、ギャラリー展を行うなかで、徐々に器を使う人が増えてきたという。木之本の人たちには”強いもの”を受け入れる強さがあったのだろうか。

「木之本の町ってほんわかしているけど、すごく強さもあると思う。強さの中のほんわかさ。強いぞって前面に出さないけど、懐が深い」とうた子さんが話せば、「木之本の強さって、全部ですよね。町も人も、暮らしも歴史も。ここでしかないもの。この深さは道産子にはわからん」と七尾佳洋さん。そんな木之本に住んでいる人たちの気質も合間って、木之本に陶芸が根付きつつある。

木之本でようやく実現し始めた地産地消という、陶芸本来のあり方。あなたには七尾さんたちの器を受け入れる、”強さ”があるだろうか?

Nanao pottery
滋賀県長浜市木之本町木之本1062
営業日・営業時間:不定休 
※遠方からいらっしゃる方は事前に電話でご連絡ください。
Tel:0749-56-1305

Next Contents

Select language