お寺や神社に通ずるメインストリートのことを「表参道」と呼ぶ。目印は歌舞伎役者の像。ここから先が表参道のはじまりだ。成田山新勝寺まで約800m。その昔ながらの道のりを、今に残る商店を見ながら歩いていこう。
道中でもう一度、歴史をおさらいしておこう。成田山新勝寺のはじまりは約1100年前。反乱が鎮まるよう「不動明王」に護摩祈願をすると、ピタリと戦乱が鎮まった。そこで不動明王像を祀る場所として新勝寺が誕生した。全国的に有名になったのは、およそ300年前の江戸時代。新勝寺は画期的な「出開帳」をおこない、大切な不動明王像を江戸の町まで持ち出して披露した──その際に、有名な歌舞伎役者である「市川団十郎」が不動明王を演じたこともあり、新勝寺の名前が江戸中に知れ渡ることになった──出開帳を行って以来、江戸から新勝寺を訪れる人はうなぎのぼりで増え続け、それに合わせて新勝寺は大きくなり、表参道に立ち並ぶお店も増えていったのである。
新勝寺へのお参りは、江戸時代の人たちにとっても楽しい旅であった。しかし、当時は江戸から歩いて往復3泊4日。だから、表参道には宿泊するための「旅館」や、腹ごしらえのための「飲食店」。道中で体調を崩した人のための「くすり屋」や、江戸まで持って帰れるような商品を売る「土産物屋」が立ち並んだのである。現在もその光景は大きく変わらないはずだ。
たとえば、成田の名物であるウナギ料理、栗羊羹、鉄砲漬け、長命泉、一粒丸。旅館の面影を残す建物も探しながら歩いてみてほしい。