1712年に建てられた三重塔。当時から極彩色の豪華な塔だったという。雲のような模様が描かれているように見えるが、これは絵ではなく「彫刻」として彫り込まれているものである。

各階には黄金の霊獣がいる。一階は「龍」。二階は「麒麟」。三階は「獏」。すべて架空の生きものだが、どんな意味が込められているのだろう。

一階の龍には、「地震や台風などの災害が起きないように」との願いが込められている。一般に、海外のドラゴンは火を噴くが、日本の龍は水を噴く。火事を防ぐ水の神様ともいわれている。

二階の麒麟は、一角獣。その角は闘うための武器に見えるが、誰も傷つけることはない。戦わずして世の中をまとめるような「よい政治家があらわれるように」との願いが込められている。

三階の獏は、鉄や銅を食べる生き物。鉄が武器に使われてしまうと食べるものがなくて死んでしまうのだ。そんな獏の姿を通して「戦争のない世界が続くように」との願いが込められている。

いずれにしても平和を願って建てられたことがわかる三重塔。戦乱を鎮めた新勝寺を象徴するにふさわしい建物といえるかもしれない。

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