私が私の結び目に出逢う場所

自分の部屋から波の音が聞こえる場所で育った私は、泳ぐことは得意でないけれど海が好き。

海と私の一番古い思い出は4歳まで遡る。お菓子に付いている、おまけの船のおもちゃを持って、海へ行き船を眺めるのが私の小さい頃の日課。

学生時代は海を眺めながらディーゼル列車でガタゴトと通学、社会人になってからは海を横目に車で、ドライブのような通勤。嬉しい時、楽しい時、辛い時、自分の気持ちと向き合う時は、ひとりでボーッと海を眺めていた。

そんな私は結婚し宮崎に来て、子どもが生まれる前、子どもが思春期に入った今も、家族と、時にはひとりで、青島を訪れる。

毎回お参りする青島神社は、海幸山幸の伝説で知られるヒコホホデミノミコトを祭神とする縁結びの社として知られている。青島を訪れた後は、何だかとても気持ちがすっきりする。

家族のこと、仕事のこと、日常抱えている些細なこと、良いことも悪いことも、私の中に抱えられなくなった時、節目節目で青島を訪れていることに改めて気づく。

私の中にある絡まった糸をほぐし、新たな結び目を作る、何かの結び目に気づく、今まで持っている結び目を確認する、私にとって青島は、そんな結び目に出逢う場所なのかもしれない。もしかしたら、青島の水平線の彼方を眺めながら、私が私の中にある心の彼方を見つめているのかもしれない。

あなたは、青島で何の『結び目』に出逢いますか?


文:佐々木美代子

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