正門を抜けると登り階段が続く。この階段がまた不思議である。ひとつの階段なのに左右で段差が違うのだ。これは一体なぜなのか。

たとえば、首里王府からハンタ道を通って偉い人がやってきたとする。偉い人は馬に乗ってやってきて、ここから先はカゴに乗る。そのカゴをふたりの部下が神輿のように担ぐわけだ。そのとき、ふつうの階段だったらどうだろう。前を担ぐ部下と後ろを担ぐ部下。ふたりの高低差によってカゴが斜めに傾く。カゴの中にいる人もまたぐらりと傾いてしまわないだろうか。引越しの人が階段で冷蔵庫を運ぶ姿を想像してもいい。冷蔵庫が傾くことで苦労する姿が思い浮かぶはずだ。階段がもっと広ければ、冷蔵庫を横にして左右に並んで運べるのに……そう、ポイントはここである。

この階段のように左右で段差が違うとどうなるか。階段をそこまで広くできなくても、担ぎ手がうまく息をあわせることで、カゴを平行にしたまま運ぶことができるかもしれない。

ほかにもいくつかの説があるのだが、なるほど納得できる説であると思わないだろうか。

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