──まだ王ではなく、王子であった尚泰久は越来グスクに住んでいた。金丸はこのころの尚泰久に拾われる。

金丸に加えて、大城賢雄もこのとき同僚として越来グスクにいたわけだが、それだけではない。古くは今帰仁から護佐丸の祖先が落ちのびてきたのも越来グスクのあたり。実は、阿麻和利の祖先は護佐丸と同系であり、阿麻和利は護佐丸の息子であるとする説もある。とにかく、越来グスクはすべての登場人物が交差するポイントなのだ。

琉球の歴史を想像する上で、日本の戦国時代を思い浮かべると見誤るかもしれない。人口を考えてみてほしい。当時の島の人口は10万人に満たなかったかもしれない。ともすれば、中城村から勝連半島あたりにいた人口は5000人ほどだった可能性もある。ちょっとした起業家レベルの村長が出れば、すぐに村をまとめられるし、血縁関係もあちこちでつながっていたのだ。

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