金鳥居から富士山に向かってまっすぐ伸びていた参道は、ここでL字に折れ曲がる。そして、その先に「北口本宮冨士浅間神社」がある。不思議だと思わないだろうか。なぜ、L字に曲がる必要があるのかと。なぜ、町と神社がズレているのかと。

実は、これまで歩いてきた上吉田の町は移転した町。かつては神社からまっすぐに伸びる参道があって、そこに「古吉田」と呼ばれる町があった。しかし、立地に問題があった。富士山の雪解け水が土砂を巻き込み「雪代」となって降ってきて(富士山にギザギザの谷が刻まれているのもこの雪代が原因だ)、すさまじい濁流が古吉田の町ごと押し流してしまったのだ。

こうした被害を避けるため、町ごと引っ越したのが現在の上吉田。地形を変えるほどの雪代。その力の凄まじさは、この先の登山道でも実感できるはずだ。

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