次の写真を見てほしい。この場所にはかつて大量の湧水があり、池のようになっていた。富士講の人たちは、この水を浴びて身を清めた。これを「水垢離(みずごり)」と呼び、富士山の聖なる水で心の垢を祓い落としていた。現在も地下に湧き水があり、北口本宮冨士浅間神社の手水舎はここから水をひいているほか、上水道の水源にもなっている。

ところで、富士山は漢字の「八」の字型をしている。日本人は「八」という数字を「末広がりの八」といい、幸せが広がっていく縁起の良い数字だと考えていた。それもあって富士講の人たちは、山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖、四尾連湖、明見湖、そして、泉水を「富士八海」として「八海めぐり」をおこなった。これは富士講の開祖である角行に由来していて、角行が修行した跡地をめぐりながら、修行を追体験する意味合いがあった。

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