正確にいえば、もう少し先に「御室浅間神社」があるのだが、ここで立ち止まってみてほしい。横を見て何か気づかないだろうか。実は、この場所に御室浅間神社の鳥居があった。左右をよく見てみると、鳥居の根元の部分が残っているのがわかるはずだ。
それにしても、鳥居の根元が目線の高さにあることに驚きはしないだろうか。当時の地面はその高さにあったということだ。が、富士山の雪解け水が鉄砲水のように流れたことで侵食され、現在の地面の高さになった。つまり、谷のようにえぐれられてしまったのだ。このような自然の力を目の当たりにして自身の存在を見つめ直すこと。それもまた修行のひとつだったのかもしれない。
二合目にある御室浅間神社は、富士山という山の中に最初に建てられた神社といわれている(本殿は河口湖にある神社に移され、世界遺産の構成資産のひとつとなっている)。