御座石とは神様が宿る石のこと。神聖な岩があったことから神社が建てられ、併設して休憩小屋も建てられた。というわけで、向かって左から御座石、神社、休憩小屋という並びになっている。

御座石に「日本橋」と刻印されているのがわかるだろうか。富士講の「日本橋組」のような人たちが登山の記念に残していったものである。これまでの道のりでもたくさんの記念碑を見かけたはずだが、それらと同じ。御座石をよく見るとたくさんの記念碑があるのがわかるだろう。

ここも二合目の御釜と同じく、山中への重要な境界とされた。それはここから木が低くなり、山頂を拝むことができるから。そして、いよいよ木々も生えない神仏の世界に差し掛かるからである。

ちなみに江戸時代は「女性は二合目まで」と決められていたわけだが、60年に一度の「庚申の年」だけは、女性も四合五勺まで登ることが許された。山頂に登ることはできないまでも、山頂を拝むことを望んだ女性たち。その思いを実現できる「最初の場所」。それが、この四合五勺であったからかもしれない。

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